砂の籠

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 もしかしたら出られるかもしれない。青い窓の格子は絵なのかもしれない。が、まあ、先述した通りに不満のない私はここから出る努力をする気は毛頭ない。  さて、この部屋のことは大方説明し終えたと思う。次は私がこの部屋に来ることになった経緯でも説明しよう。  私がこの部屋に来ることになったのは、件の「興味のある事柄」についての考察を深め観察や推察を経てそれを知るための行動をとったことが主たる原因だった。それでオシマイ。というわけにもいくまい。  先ほどすこし話題に出したが、この部屋に可燃物を差し入れる彼が、というか、彼の一味、というか。どちらかというと彼は端役に近いのでこの言い方もどうかと思うのだが、彼とその周辺の、私の知らない彼や彼女やが、私をこの部屋に住まわせている。家賃無し、食費無し、光熱費無し、水道代無し、ガス代無し、その他雑費の負担も一切無し。至れり尽くせりの環境だ。話を戻すと、私をここに連れてきたのは外にいる彼でも、恐らくは彼の仲間なのであろう不特定多数の中にもいない彼である。彼と出会ったのは恐らくは偶然。ただ、少々夢見がちな私の頭には、それは運命にも思えた。
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