63人が本棚に入れています
本棚に追加
カチャリとノブを捻る音が玄関から聞こえてきた。
まずい
慌てて便箋を箱に収めるとふたをしてスーツケースに押し込んだ。
「ただいま」
「お…おかえり」
千尋は背中を向けてごしごしと目元を擦る。
しゃくり上げるように溢れた涙は、抑えようとすればするほど止まらない。
ズルッと鼻をすする。
「挨拶したら花束もらっちゃったんだけど…………どうした?」
あ……
千尋は床に置いたDVDの横にある封筒に気がついた。
その時には恭もその封筒を見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!