3. 時間の箱

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「千尋……」  恭が腕に力を込めたのがわかった。  ……I love you  耳元でささやいた美しい英語の発音は、恭の心の深いところに一瞬触れた様な気がした。  彼の人生の半分がこの言葉で埋め尽くされている。  その声が千尋の躰にジンと染み渡っていく。  恭の腕の中でゆっくりと目を開くと、テーブルに置かれた黄色い花束が目に入った。  美しく咲き誇る太陽のようなヒマワリ――――『あなたを見つめています』 「私も……恭を愛してるよ」
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