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――――
「おかあさぁーん。ほしすごいねえ」
「すごいねえ」
暗闇を照らし出す億千の星
「てがとどきそうなのにぃ」
小さな木の葉みたいな手を一所懸命上へ伸ばす。
「おかあさんものばして! とどくかもよ。おとなだし」
母親も大きく空に手を伸ばす。
何度も何度もそうしてきたように
「おかあさん! だっこして」
母親は笑うと天にむけられたままの愛らしい手にキスをする。
そしてその小さな体を高く抱き上げた。
「いつかとどくかなあ」
「そうね。きっといつかね……」
きっといつか
遙か遠くの
――――あなたに届く日が来ますように――――
〈完〉
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