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「あの、そこ……うちのお墓ですけど。うちの……」
また彼の瞳が大きく開かれた。
こちらを振り向いた時のように。
そして墓石を見て、もう一度千尋の顔を見る。
「よりの…………子ども……?」
え?
『より』って…………依里?
おばあちゃんのこと!?
「いえ。…………孫です」
そんなに老けて見えただろうかとちょっと眉をしかめる。
と同時に二十歳前後にしか見えない青年の口から祖母の名が出てきたことを、千尋は不審に思った。
祖母の森山依里が亡くなったのは30年も前だ。
千尋自身も会った事が無い。生まれる前の話なのだ。
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