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「うるせえ! 年寄り扱いすんな!」
大智が千尋の腕を払いのけ地面に手を付き立ち上がろうとする。
「ぐあっ!」
もう一度尻餅をついた。
「おじいちゃん大丈夫!? もしかして……足痛いの?」
それには答えず膝を手の平でそろそろと押さえつける。
千尋は物言いたげな目をして青年を見上げた。
「……手……貸しましょうか? そいつがよければ」
「お前の手なんて死んでも借りるか!」
「おじいちゃん!! おじいちゃん支えて家に帰るなんて私にはできないからね!?」
「智基呼んで来い」
「智ちゃん出張で福岡だって言ってたじゃん!」
かわいい孫娘の怒鳴り声にしぶしぶと青年の手を掴んだ。
「お前の手借りるなんて一生の恥だ」
「すみません……」
さすがに千尋も悪態をつく祖父に青年への申し訳なさがにじみ出る。
だいたいこんな若い子と祖父の間にどんな関係があるのだろうか?
おぶられた祖父の背中の向こう側に見える、少し癖のある長めの黒髪を見つめる。
そういえばおばあちゃんの名前も呼んでたなあ……
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