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零話「エイプリルフール」
四月一日。
それはエイプリルフールと言って誰もが嘘を付いても許されるはずの日……だった。
「ねぇねぇ、知ってる?姉ちゃんが今度行く高校って出るらしいよ?」
ソファーに座り込みポテトチップスを片手に食いながらテレビ画面を見ている私の妹である春香は私を横目で見るなり、そう声をかけてくる。
「何がよ?」
「出るって言えばあれよ?」
「はぁ?学校の怪談は中学までよ?それとも私を怖がらせたいの?ねぇ?ざんねんでしたぁ。怖くなんかないんだからね」
「声を震わせながら困った顔で言われてもむしろ言った私が心配になるくらいなんだけど。まぁ、お姉ちゃんはやれば何でもできる人だから何でもいいけどね。あっ、ちなみにさっきの嘘だから。日にち見て見れば気が楽になるよ」
「……エイプリルフール」
私はその特別な日のことを口にした。この嘘がまさかあんな実際に死を与えられたり、家族や友達までも巻き込む奇妙な事件に巻き込まれるとは私は思うことはなかっただろう。
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