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私の返答を聞き終えた彼女はそのまま本の方に戻ってしまった。私は声をかけるのをやめてそのままパネルの方へ行く。この学校のクラスは一学年五組ずつらしい。私は一組から四組まで自分の名前を探して見た。それらには『須田詩芽沙』という名前はない。
「となれば……」
私の名前はやはりそこにあった。一年零組。私がパネルを見てこのクラスの文字だけ何か違和感を悟っていたが、まさかここだとは。そのまま下の方を見ていく。五十音順だからやはり『や』は最後にあった。
「夜那須蛾咲……」
その文字がそこにあった。そのことを彼女に伝えようとしたが、彼女はもうそこにはいなかった。私はそのまま玄関口で靴を取り替えて教室へと向かって行った。教室の中に行くと、隅っこの机で夜那須蛾さんは本を再び読んでいた。声をかけるのも何なので、声をかけないようにした。黒板を見ると、五十音順に席に座る様に指示されていた。廊下側から二列目の真ん中が私の席のようだ。クラスメイトの声が教室を鳴り響く。
「はじめまして。私、隣の席の浮村奏。そしてこの子はエッチ……間違えた。江土優里よ」
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