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「うっさい。べっ……別に怖くないですからね?だって私、担任ですし。何か文句あります?ないですよね?はい、自己紹介自己紹介。相田さんから」
「私は相田……」
自己紹介が順に始まって行く。このクラスで大丈夫なのかと不安になりながらも自分の番を待つ。そして私の番が来た。
「私は須田詩芽沙です。中学ではバスケをしてました。怖いのは苦手ですが、よろしくです」
私はそのまま席に座った。そして次第に自己紹介を済ませていくのを聞いていた。しかし不可思議なことが起きた。最後の列の隅っこに夜那須蛾さんはいなかった。それどころか机や椅子も消えていた。先生もまた彼女のことには触れずに「これで全員……と。さぁ、入学式だから体育館に行くわよ」と切り上げてしまった。私は隣にいた浮村さんに彼女のことを聞いたが、「そんな子いたかな?」と言われてしまった。入学式は無事終了した。そして部屋に戻るなり、彼女の席はいつの間にか戻っており、そこに彼女は座っていた。だが、先生の話により声をかけることが出来なかった。先生の話が終わり、彼女に話をかけようとしたらその席と彼女の存在はもう消えていた。
「どうしたの?まださっき言ってた子が気になるの?」
心配そうに浮村さんは声をかけてきた。その隣には絵土さんもいた。
「ううん、何でもないよ」
「じゃ、私たちと帰ろう?」
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