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そんな二人の敵兵の姿を見れば、ハリーは思わず口元を綻ばせてしまう。当然だ。ハリーにとって、こんなものはカモがライフルを背負ってやって来たに等しい。ご丁寧に、沢山の弾を抱えた土鍋付きで、だ。
体育館裏を探索する二人は、隠れるハリーに気付くこともなく。気怠げな様子で雑に探しながら歩き、やがて二人ともがハリーに背を向けた。
――――仕掛けるなら、今だ。
意を決し、ハリーが隠れていた茂みから飛び出した。
「ふっ――――!」
二人が振り向く間も無く、ハリーが一気に距離を詰める。
片方の首の裏に鋭い手刀を打って昏倒させ、その隙にもう一人の頬へ左肘を使い強烈な肘打ちを喰らわせてやる。肘打ちを喰らった奴が折れた歯を吐き出しながら倒れる隙も与えず、ハリーはソイツの関節を手早く極め。そして目にも留まらぬ早さでソイツの両肘を逆方向へとへし折り、関節を破壊した。
昏倒して倒れたもう一人の傍へ、腕の関節を破壊した奴を放り投げてやる。そしてまだ無事なもう一人の方に向けてハリーは腰から抜いたUSPコンパクト自動拳銃を向け、そして冷淡な声でこう告げた。「動くな」と……。
「質問に答えて貰おう」
続けてハリーが言うが、しかし五体満足な方の奴は答えようしない。ちなみに関節を叩き壊したもう一人の方は、口から血混じりの紅い泡を吹いて気絶している。
「答える気は無い、か」
銃口と共に冷ややかな視線で男を見下ろしていたハリーは、落胆したように小さく呟くと――――あまりに突然に、USPコンパクトの引鉄を引いた。
9mmパラベラム拳銃弾の軽い銃声が、何度も重なって木霊する。しかし撃ち抜かれたのはハリーの足元にへたれ混んだ方でなく、泡を吹いて気絶していた男の方だった。
後頭部に何発も弾を喰らったソイツは脳をズタズタに破壊され、小さく痙攣しながら間も無く息絶える。しかしハリーの手は止まらず、すぐさまもう一人の男の両膝を撃ち抜いた。膝を破壊され、痛みに喘ぐ呻き声を男が漏らす。
「これで、答える気になったか?」
再びその男の眉間へ銃口を向け直しながら、再度ハリーが問いかければ。今度は男も心が完全に折れ、そして涙目になりながらペラペラとハリーの質問に答え、訊きもしないことまで喋り始めた。
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