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弾倉を交換しながら、ハリーは教室内の惨状を眺め、そして苦虫を噛み潰したみたいな顔でひとりごちた。それ程までに、教室の中は酷い有様だった。
きっと、襲われた時は授業中だったのだろう。生徒の大半が席に着いたままか、或いは逃げようとしたらしく床に転がるかどちらかの格好で、一様に身体のあちこちに銃弾での風穴を穿たれた形で息絶えていた。授業を受け持っていた教師に至っては、ショットガンか何かで首から上を完全に吹き飛ばされた無残な格好で教壇の上に斃れている。
教室の一番後方に飛び込んだ形のハリーだったが、何かベチャリとした感触が靴の裏にすると思ったら、生徒の死骸から流れ出た紅い血が床を汚していて。気味の悪いこの感触は、その血を靴裏で踏んづけた感触だったようだ。
ハリーは顔をしかめながら立ち上がり、最後に教室内を一瞥してから廊下の方に近寄っていく。そうしている間にも、ハリーの胸中では沸々とした怒りが煮えたぎり始めていた。
(酷いやり方だ……。こんなの、プロのすることじゃない)
こんなのは、ただの虐殺だ――――。
怒りの炎を燃え滾らせながら、しかしハリーは仕事が――園崎和葉の保護が最優先と考え、頭を切り替えながら教室の戸を開き廊下に飛び出す。
警戒しながら外に出たハリーだったが、しかし廊下は静かなものだった。血痕や死骸がそこら中に転がってはいるものの、敵の気配はあまり感じられない。
「…………!」
と、その時だった。ゴトッという確かな物音を、ハリーの耳が捉えたのは。
階段の踊り場近くの方からだった。ハリーは警戒しながら、QBZ-97を構えつつそちらに近寄る。
「ひっ……!」
すると、そこに居たのは敵ではなく、意外なことにこの学園の学生だった。茜色の髪の少女が、踊り場に積み上げられた段ボールたちの陰に隠れるようにして、身を縮こまらせていたのだ。
「君は……」
「えっ……? あ、貴方って、和葉を迎えに来てた……」
ハリーはその娘に見覚えがあり、そして少女の方もハリーの顔に見覚えがあったらしく、お互いにぽかんとした意外な顔で見合う。ハリーの記憶が確かなら、確か彼女は朱音とかいう名前だったはずだ。いつも和葉と一緒に居る娘だ。
「…………和葉は?」
「えっ?」敢えて名乗らずにハリーが一方的に質問すると、朱音は一瞬何を言っているか分からないような顔をした。
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