第一章 鬼狩りの少女

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 月明かりが照らす山道を一人の少女が歩んでいく。腰に刀を帯び、紅色の着物を身に纏う少女の長い黒髪が夜風に(なび)いた。  何かの気配を感じ取り、猛禽類のような鋭い目を更に鋭くさせ、周囲を警戒する。  ガサガサと音を立て、草場から何かが飛び出した。少女は刀を抜き、飛び出してきた“何か”と対峙する。 「はぁ…………、面倒くさい」  ため息混じりに呟く。  月光に照らされ鈍く輝く刃を横一閃。一瞬にして草場から現れた鬼“餓鬼(ガキ)”を葬り去った。  何事もなかったかのように刀を鞘に納め、少女は歩みを進める。  本来ならば、日が暮れる前に宿場町に着いている筈だった。しかし、道中、山賊や先程の餓鬼のような鬼に襲撃され足止めをくらい、おかげでこんな真夜中まで歩く羽目に。  そろそろ野宿でもと思った矢先の餓鬼の襲来。 「安心して野宿することも出来ないわね……」  腰掛けるのに丁度良い岩を見つけ座る。  流石に丸一日も歩き続け疲れてきた。体力には自信があったのだが、今日──いや日を跨いでいるから昨日か。昨日はいつにも増して妖し共との戦闘が多かった。だからなのか疲れてしまったのかもしれない。
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