第一章 鬼狩りの少女

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 もう眠たくて仕様がない。周囲に人や鬼の気配は無し。  よし、寝よう。としたその時、 「うあぁぁぁぁっ!」  遠くの方から叫び声が聞こえてきた。  人が寝ようとしていると言うのに何だと、心中思いながら身体を起こす。  徐々に人とこれは……鬼の気配だ。その二つの気配が近付いてくる。  気配を感じ取った方へ身構えていると、繁みから見慣れぬ服装の男が転がり出てきた。  その直後、人程もある巨大な蛙が出てきた。鬼の“河魔(ガマ)”だ。  下級の鬼だが、一般の人間が太刀打ち出来るような相手ではない。武術に通じ尚且つ、鬼との戦い方を身に付けていなければ、あっという間に殺されてしまう。  助ける義理は無いが、見殺すのも寝覚めが悪い。  さっさと倒して寝よう。  少女は男に襲いかかる河魔をあっさり切り裂いた。 「た、助かった?」  腰を抜かし地べたに座り込む男が呆然と少女を見詰める。  そんな男の視線を気にもせず少女は岩の上に横たわり眠りに着く。 「あ、あのっ」 「スゥー、スゥー…………」 「寝てる……」  男が声を掛けるが、少女は既に眠りに入っていた。 「一体どうしたら………てか、ここはどこぉぉぉ!?」 「五月蝿(うるさ)い!」 「あべっ!?」  少女の強烈な蹴りが男の顎に命中し男はそのまま気絶した。
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