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もう眠たくて仕様がない。周囲に人や鬼の気配は無し。
よし、寝よう。としたその時、
「うあぁぁぁぁっ!」
遠くの方から叫び声が聞こえてきた。
人が寝ようとしていると言うのに何だと、心中思いながら身体を起こす。
徐々に人とこれは……鬼の気配だ。その二つの気配が近付いてくる。
気配を感じ取った方へ身構えていると、繁みから見慣れぬ服装の男が転がり出てきた。
その直後、人程もある巨大な蛙が出てきた。鬼の“河魔”だ。
下級の鬼だが、一般の人間が太刀打ち出来るような相手ではない。武術に通じ尚且つ、鬼との戦い方を身に付けていなければ、あっという間に殺されてしまう。
助ける義理は無いが、見殺すのも寝覚めが悪い。
さっさと倒して寝よう。
少女は男に襲いかかる河魔をあっさり切り裂いた。
「た、助かった?」
腰を抜かし地べたに座り込む男が呆然と少女を見詰める。
そんな男の視線を気にもせず少女は岩の上に横たわり眠りに着く。
「あ、あのっ」
「スゥー、スゥー…………」
「寝てる……」
男が声を掛けるが、少女は既に眠りに入っていた。
「一体どうしたら………てか、ここはどこぉぉぉ!?」
「五月蝿い!」
「あべっ!?」
少女の強烈な蹴りが男の顎に命中し男はそのまま気絶した。
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