第1話 美貌の少年

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 店を出ると、先程有希が倒した男達がいた。手にはどこから持ってきたのか、鉄パイプを持っている。  彼らが有希の姿を見ると、鉄パイプを振り上げて走ってきた。 「有希、さっきの疑問に答えてやるよ」  秋人は有希の前に進み出る。  男達の有希に向けられていた殺意は、瞬時に秋人へと移る。  鉄パイプが振り上げられる。  鈍い金属音が三つ響いた。  だが、秋人は、倒れていない。 「見えただろう、有希」  有希には見えた。凶器が振り下ろされた瞬間に秋人の体を何かが覆い尽くしていた。  青く澄んだオーラである。 「お前も持っている力だ」秋人は振り返る。「気のようなこれを体に纏えば鎧にもなる」  彼の背後を男達が狙う。  鉄パイプで殴られているはずなのに、彼にはダメージを感じないどころか微笑みさえ浮かべている。 「この力の名前はアスラ……そう呼ばれている」  彼の右足にアスラと呼ばれた力を纏う。  刹那、左足を軸として振り向きざまに回し蹴りを放つ。  男達は勢いよく吹き飛ぶ。 「能力者じゃない素人には本気で力を使ったら死んじまうからな。少しでいい……蝋燭の火を吹き消すように優しくな」  秋人はにっこりと笑う。 「それが僕の蹴りを受け止めた力ってわけだ……」 「そう。まあ、今のがレッスン1ってところかな」 「レッスン1って……」  有希は言い掛けて、背筋に寒気を感じた。  秋人の表情も鋭くなる。  背後に殺気を感じた。  振り返ると、黒いスーツの男が立っている。 「有希……感じるか……?」  秋人が言う。 「ああ……分かるよ」 「あいつは俺たちと同じ……アスラ能力者だ」  そして、自分達に敵意を向けている事も分かった。 「じゃあ、レッスン2と行くか」  秋人が再び前へ出る。 「アスラ能力者相手なら、手加減する必要はない……アスラは目一杯でいい」  青い炎のような力が秋人の両手に宿る。 「例えて言うなら……攻撃する場所で大声を出すような感じだ」  スーツの男も右手に光が灯る。  お互いに拳を引き、真正面から打ち合う姿勢だ。  周囲の空気がビリビリと震えているようであった。放つ殺気、燃え上がるように激しく輝く両者の拳が、そうさせているのだろう。  二人は構えて、束の間静止した。  拳が走る。  動き出しは同時であった。
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