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第2話 学園へ
有希が目を覚ますとマイクロバスの中にいた。
隣には秋人がいて、「よう、起きたか?」と言ってきた。
「ここは?」
有希は周りを見回しながら聞いた。
「さあな……遠足ってわけでもなさそうだが……」
秋人の言う通り、そんな楽しそうな雰囲気ではなかった。窓には真っ黒なフィルムが張られていて外の様子が分からない。車内には二人の他に運転手が前方にいるだけで、時間も分からず、どの方角に向かっているのかさえ不明である。
「まあ、考えたところで始まらん。とりあえず落ちつけって。それにほら、飲み物なら飲んでいいみたいだぜ」
秋人は缶コーヒーを差し出した。
「外の音からするに、高速だろうな」
時々バスの横を車が高速で走り去るような音がしている。確かに一般道の音ではなさそうだ。
缶コーヒーを飲む。甘いミルクコーヒーだ。
「なあ、有希」
秋人が尋ねる。
「聞きたい事があるんだがいいか?」
「なに?」
「お前が学園を目指している理由はなんだ?」
「なぜそんな事を聞く?」
「別に……暇だからさ……それとも聞かれちゃマズいかい?」
「……構わないよ、別に……」
有希はコーヒーを少しずつ飲みながら、話し始めた。
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