一話 ガラテアというおっさん少年

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「汚い野鼠共には勿体無い幸福だな」  かっこよく決まったし、今日はいいことありそうだ。今回の金も大分良かった。一人頭五万ボルクは美味しいよなあ。さすがは大国ラヴィニア。素晴らしい財力、蓄えが違う。  自然と笑みが零れている。そんな俺を小突いてきたのはハルキオだ。 「なあ、ガラテア。今回の金どう使う? 俺は可愛い女の子と遊びたいなあ」 「ハルキオ、お前本当に女のことしか頭にないな」 「ああ、天から俺好みの可愛い子が舞い降りてこないかな!」 「空から降ってきたら、そのまま潰れて死んじまうよ。血だるまの子が好みだっていうなら願えよ」 「夢がないなあ、現実を突きつけるなよ。そんな血まみれっ子は趣味じゃない。俺が好きなのは胸の大きく、尻もほどよい肉つきのまさにかぶりつきたい生意気な体をしたレディさ! そういや可愛い子で思い出したが、知ってるか? ラヴィニアのお姫様、行方知れずになったって話」 「お前が呆れるほど女性の敵なのは知ってたが、姫様のことは知らん。誘拐か?」 「どうかな、先の戦中に忽然と姿を消したらしいぜ。城内の部屋にいたはずの姫がどこにもいないって、城では騒ぎになってるみたいだぜ。後方で待機中に兵士が話してるの聞いたんだ」  噂話が沸き出るぐらい後ろは暇だったってことか。しかし、行方知れずのお姫様ねえ、見つけたら報酬は期待できそうだが。まあ、いなくなったなら誘拐の説が強いかもしれんなあ。城では泡食って慌しいことになっていそうだ。
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