一話 ガラテアというおっさん少年

12/14
前へ
/38ページ
次へ
「ここだけの話、お姫様は結構お育ちであらせられるらしい」  ハルキオが両手を胸の辺りで山を作るように動かす。下卑た笑みが板についてまあ、悪党だと言われたら否定しがたいな。こいつの頭の中は女のことしか詰まってない。女性は実に鋭いもので、こいつは道を歩いていても自然と避けられる。やっぱりなにか感じ取るんだろう。  白い目というのが出来たのか知らないが、ハルキオが俺を見るや困ったような表情を浮かべている。 「不敬な話が聞こえたぞハルキオ!」  俺の背後から怒声が飛んできた。振り返れば、そこには金髪青眼、眉目秀麗な男が立っていた。 「あ、アダン! いや今のはほら会話の流れで」 「言い訳はいい! まったく、お前という奴は!」 「まあまあ、落ち着けアダン。酒の席だ」  俺たち三人は、幼少期からの腐れ縁が続いている。どいつもこいつも傭兵稼業やっていながら、よく生き残るもんだ。 「男なら誰でも気になるだろ! まったく、毎度説教はごめんだよ」 「ハルキオ、お前知らないだろ、こいつむっつりなんだよ。自分もそういう目で見てるに違いない」 「あらやだあんたも好きねえ」 「叩き斬るぞおのれら!」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加