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「ここだけの話、お姫様は結構お育ちであらせられるらしい」
ハルキオが両手を胸の辺りで山を作るように動かす。下卑た笑みが板についてまあ、悪党だと言われたら否定しがたいな。こいつの頭の中は女のことしか詰まってない。女性は実に鋭いもので、こいつは道を歩いていても自然と避けられる。やっぱりなにか感じ取るんだろう。
白い目というのが出来たのか知らないが、ハルキオが俺を見るや困ったような表情を浮かべている。
「不敬な話が聞こえたぞハルキオ!」
俺の背後から怒声が飛んできた。振り返れば、そこには金髪青眼、眉目秀麗な男が立っていた。
「あ、アダン! いや今のはほら会話の流れで」
「言い訳はいい! まったく、お前という奴は!」
「まあまあ、落ち着けアダン。酒の席だ」
俺たち三人は、幼少期からの腐れ縁が続いている。どいつもこいつも傭兵稼業やっていながら、よく生き残るもんだ。
「男なら誰でも気になるだろ! まったく、毎度説教はごめんだよ」
「ハルキオ、お前知らないだろ、こいつむっつりなんだよ。自分もそういう目で見てるに違いない」
「あらやだあんたも好きねえ」
「叩き斬るぞおのれら!」
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