一話 ガラテアというおっさん少年

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 相も変らぬ古臭い図書館だ。少しくらい掃除でもすればいいものを。埃っぽくてかなわん。  いくつもの本を積み重ね、昔からある変色した椅子に腰掛けながら読書を嗜む。周りの本棚には埃の被った本が無数あり、どれもこれも分厚い上に小難しい本ばかりだ。あのジジイ、もう少しガキが喜びそうで、薄い本でも置けばいいものを、俺の意見を頑として聞かないからこう利用者がいないんだ。 「おい、ガラテア」  大体、昔からそうだ。自分の好みだか知らないが、冗長で少しも面白くもない文学書やらなにやら、誰の興味も惹かない本ばかりで面白みがない。俺以外の利用者を見たことねえ。まあ、ジジイの好みのおかげで助かる部分があるのは間違いないが。 「おーい」  新しく入荷したって本にも大した情報は載ってない。そもそも情報自体が少ないからな。仕方ないとは思うが……。しかし、この本も小難しい用語ばかり並んでやがる。わかりやすい本を探してこいって言っただろうに。全く融通の利かないジジイだぜ。 「おいと言うとろうが」 「まったく、小難しいのは顔だけにしろってんだジジイ」 「なんじゃとくらぁ!!」  ジジイの一喝と同時に杖が頭にめり込む。 「いってええええ!? なにしやがるこのジジイ!」  振り返れば、ローブを纏い、白髪と髭が繋がった、どこから髪でどこから髭なのか分からん毛ダルマのジジイが目を怒らせて立っていた。杖で床を突き、ふんと鼻を鳴らした。 「なにはこっちのセリフだこのボンクラ! 小難しくて悪かったのう!」 「……なんだ聞いてたのか?」
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