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「ガキはお家でミルクでも飲んでるのがお似合いだぜ? ママはどこだ? お前、一人で帰れるのか? ヒヒヒヒ!」
「おいおい、なんで酒場に猿がいるんだ? おい、誰か猿使いでもいるのか!? 猿が逃げてるぞ、縄持ってこい縄!」
酒場が笑いに包まれる。どっちの冗談で笑ったんだか知らないが、目の前の猿面がますます真っ赤になっていく。店主に視線を注げば、親指を立てたので暴れてよし、とのことだ。よくよく見れば、客の一部はテーブルを後ろに下げている。よくわかってらっしゃる。
「てめえ、このガキ! 俺が誰だか分かってねえみたいだな! 先のダスマンの戦では、十人以上を殺してるんだ! テメェなんぞ一捻りなんだぜ?」
「ほーう、そいつはすごい。猿が武勲を上げるなんて初の事例じゃねえの?」
「テメェ!」
剣を抜き放つ猿面。だが構えないところを見るに、どうにも子供だと思って油断しているらしい。
「どうした? 怖くて声も出せねえか? 今なら土下座して謝れば許してやるぜ?」
「言うことがいちいち小物臭ぇ。もうちょっと大物感出せねえのか? こっちだって気分ってもんがあるんだがね」
「ふざけんじゃねえ!」
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