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渾身の力を込めた一言だったと思う。周りの、俺の事情を知らない連中も驚いているらしかった。あ、酒を噴き出した奴がいる。そんなに驚くことか?
「う、嘘つけえ! お前どう見ても二十もいってねぇだろ!」
「そりゃあそうだろう。この姿だと十六だしな。実年齢は二十八だ」
「二十八ぃ!? この姿だと十六? なに言ってんだお前!?」
「俺は歳をとらないんだよ」
「歳をとらねえだとぉ!? そんな馬鹿な話があるか!」
「嘘だと思うなら結構。だが、ガキに負けたと思うのと、人生の先輩に負けたと思うの、どっちがいいか考えて発言しろよ?」
小気味いいとはこのことだ。唖然とする連中を尻目に、俺は再びカウンター席で酒をもらう。ああ、人を驚かせた後に飲む酒のなんと美味いこと!
店主が酒と一緒につまみも出してくれた。焼いた鶏肉のようだ。食おうとしたが、どうにも店主が話したそうに凝視するので気になって食えない。
「なんだよ? 恋する乙女じゃあるまいに、そんなに見られちゃ食欲が失せる」
「いや、すまん。お前のあれ――不老の呪印、だったか。まだ解く方法は見つからないのか?」
「ああ、さっぱりだ」
「バイモンのところに入り浸っているようだが」
「ジジイのところが一番本があるからな。だが、呪印に関しちゃ全然分からん」
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