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互いの熱い吐息が交じり合い、一つになる。
私に覆い被さり感じている甲斐が、私を夢中で求めてくれたことが嬉しかった。
昨日までは、このベッドには遥希が他の女性を抱いていた記憶がしっかりと染み付いていた。
でも明日からの私は、きっと眠りにつく前に甲斐に抱かれた今夜のことを思い出す。
今夜、確実に記憶は上書きされたのだ。
「七瀬……」
私の指先にキスを落とし、隣に寄り添う甲斐は瞼を綴じた。
耳元で、甲斐の寝息が聞こえる。
そのリズムが私には妙に心地よくて、私も続いて眠りについた。
なぜ甲斐が隣にいると、安心するのか。
それは、私にとって甲斐が心を許せる親友だから。
……このときの私には、まだそれ以上のことは考えられなかった。
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