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アーノルドと出会ったのは兄の親友の弟として紹介された。その兄は私をΩだからと差別はしなかった。その男の子がアーノルド。すぐ仲良くなった。自分の出世しか興味のない汚い大人とは違って純粋に仲良くなっていた。アーノルドは綺麗な男だった。姿勢もよく所作も綺麗で大人から子供までアーノルドの気を引くのに一生懸命だった。お菓子を渡したりおもちゃを送ったりけれど彼はお菓子をもらったら私の分まで持ってきた。アーノルドは賢い子だった。私がどういう立場か理解していたのだろう。そして自分の使い道も。アーノルドは優しかった。一度懐に入れたらその人を絶対守る。ある日を境に私はあまり人から冷たい目を向けられることも卑しい目を向けられることもなくなった。不思議に思った。理由は簡単だ。自分の使い道を知っているアーノルドが自分の大切な人に傷をつけたら許さないと言いふらしているらしい。アーノルドを紹介してくれた兄はいい友を持ったなと言って笑っていた。そして彼は5歳になる少し前に武の訓練をした。普通より早い。アーノルドは私を守りたいからだと言ってくれた。才能があったようですぐに伸びていった。アーノルドを欲する声が大きくなっていた。けれどアーノルドは気づかない振りをしていた。でも私はそれができなくて不安になっていてそれがたまって爆発してアーノルドに当たった。するとアーノルドはきょとんとして笑って
「僕が守るのはマサイアスだけだよ?そうだ。不安なら主従の儀式をしよう。父様から本をもらったんだ。」
と本を見せてくれた。アーノルドは読んでいる間に訓練用の剣を持ってきて僕に渡して2人だけのひっそりと儀式を行った。その時の私達の儀式は騎士と主人というよりずっと友達という意味合いの方がしっくりくる。そんな拙い儀式。でもわたし達は今でも正式に儀式を行ったがその前の2人だけの儀式の方を尊重していた。
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