サッカー選手β×サッカー選手Ω

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僕、零斗は今日、はじめてプロとしてインタビューを受けた。僕が所属するチームの今年プロになった人たちと一緒だ。そこで定番の質問。憧れの選手は?という質問だ。他の人は現役の同じチームの先輩。もしくはここに在籍していた夏元選手を挙げた。僕は迷わずはっきりとこのチームに在籍していた清瀬元選手と答えた。インタビュアーは驚きながら嬉しそうに理由を聞いてきた。僕と同世代の人間は知らない。知っているのは40代以上の人間だ。清瀬元選手を知らないなんて人生損している。昔はΩは公式戦に出られないからこれからという時にやめてしまった悲劇のヒーローと呼ばれている。僕はそうとは思わない。今から18年前、副作用の少ないしかし抑制剤として優秀な薬ができた。それに伴い色々なスポーツはΩでも公式戦でも出れるようになった。その中にサッカーは入っていた。そしてΩである僕もプロとして生活ができる。最近わかったことだがΩは弱者だと思われていたがαと同様素晴らしい才能を持っているものが多いということがわかった。でもΩはスポーツでは不利だと言われている。僕はサッカーが得意でβの家庭に育った。だから僕もβだと思っていた。しかし祖先にΩがいたようだ。僕はΩだった。ショックだった。そしてサッカーボールを捨てた。母に出してもらうように頼んで引きこもってでも筋トレは続けていた。サッカーが日常になってた証だった。一週間経った時珍しく祖父が我が家にきた、それが清瀬元選手との出会いだった。祖父は僕を呼んで居間のテレビの前に連れてかれた。そして古いDVDをセットしていた。祖父の時だろう何年のワールドカップと書かれていた。
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