サッカー選手のα×後転性Ω元サッカー選手

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俺は幸せな人生だと自分で思う。夏と話した将来の夢は何一つ叶わなかったけれど自分はたしかに一番の幸せものだった。夏という最愛の人と好きなサッカーをすることができたから 一つ心残りがあるとするならばそれは夏を一人で残して逝ってしまったこと。夏は自惚れではなくて俺以外好きにならないようにするだろう。けれどそれではダメなんだ。夏には幸せになって欲しいから Ωになる一週間前から微熱と下腹部の痛みがあった。でもワールドカップという大舞台があったからみんなに気付かれないようにした。ワールドカップの前だったから恋人の営みはしてなかったし夏にもバレなかった。 サッカーをΩになってできなくなった日。俺は悔しさとワールドカップで優勝した後でよかったという安堵の気持ちがまず来た。それから夏のこと。Ωになったのなら夏の子供を産める。夏は子供が大好きだからきっと喜ぶでも夏は優しいから自分のことのように傷ついていた。それが一番悲しかった。 引退の日みんなが惜しんでくれた。チームメイトもライバルもサッカーファンもそれだけで充分だった。それだけのパフォーマンスをできたのだ。みんなに認められていたって実感できて嬉しかった。しばらくは悲劇のヒーローとして取り上げられてインタビューを受けた 俺は悲劇のヒーローなんかじゃない。こんなに愛されていて悲劇なんてそんなことあるわけないだから言ったんだ 「恋人の子供が産めるから悲劇ではありません。それにサッカーはボールがあればどこででもできますから」 きっと選手の時みたいな刺激的な試合はできないだろう。でもサッカーはできる。本当の意味でサッカーを取り上げられていないのだから そしてしばらくして結婚式を挙げた。準備の時、店の人からドレスをすすめられた。けれど俺はΩになったばかりで実感がなかった。自分は男だという意識が強かっただから嫌だった。でも夏が望むなら着てみようそう思ってた。けれど夏は俺の気持ちがわかったのか二人ともタキシードでお願いしますとそれがすごく嬉しかった。そしてお揃いの純白のタキシードを着た。そして神様と元チームメイト、監督、高校の恩師と友達。綾先輩、綾先輩の番、両親の前で誓ったのだ。健やかなる時も病める時も愛すると。健やかな時は少なかったけど確かに俺たちは愛し合っていた。
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