①男子校とは魔界である

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①男子校とは魔界である

穏やかな陽差しが世界を包む。柔らかな風が桜の花びらを運ぶ。季節は春である。  四月一日と三月三十一日では二十四時間程度の差しかないというのに、どうしてだが四月一日は特別に感じてしまう。  今日から俺は高校一年生だ。入学式を終え、教室にて担任を待つ。授業は翌日からなのだが、ガイダンスなど諸手続があるからだ。  教室を見渡す。木漏れ日が窓から教室へ降り注ぎ、教室をきらきらと照らしている。  クラスメイトの顔はほとんど知っている。すらりとした長身をもてあますかのように椅子にもたれかかっている男も、早速机に突っ伏して寝ている男も、まだ午前十時だというのに既に弁当を広げている男も、皆知り合いだ。  深呼吸をして、もう一度教室を見渡す。もちろん男しかいない。それは何故か?  その理由は単純だ。ここ私立筒井高校は男子校である。そして付け加えると、同じ敷地内に存在する筒井中学も男子校である。そう、ここは中高一貫男子校なのだ。     
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