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「誰も、やりたくてやってません」
ここにいた人たちは誰一人としてやりたくてこの委員会に入ったわけではなかった。確かに、俺たちのクラスもじゃんけんで負けた人がなってたな。俺、そのじゃんけんにすら参加できてないけど。
「クラスで目立っている人たちほどこういう面倒な仕事は地味でおとなしい私たちに押し付けて、後から文句とか言ってくるんですよ……」
委員長も俯きながら言った。しかし、陣内はまだ納得していなかった。
「嫌なら、断ればいいじゃない」
「そんなことできないからこうしてやってるんです!」
委員長が声を荒げた。
「沙彩花、みんながみんな沙彩花みたいに強くないんだよ」
桧倉が小さくそうつぶやくと、陣内は下を向いてこれ以上は何も言わなかった。そうこうしているうちにもう少しで下校時間になる。
「今日中に決めたいんだろ。今出てる中でもうテーマ決めたらどうだ」
「4つしか出てないよ?」
「しかも、俺たちが言った好きなやつで決めて大丈夫かよ」
「仕方ないですね。もう時間もないですし、この4つの中で決めましょう」
委員長は小さく深呼吸して前を向いた。
「実は私、この原宿っていいと思うんです。最近こういうの流行ってますし」
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