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文句言いながらみんなついていくのね……。これはもう逃げられないな。あぁ、変な部活に入ってしまった。
***
家に帰ると妹の紘夏が珍しく出迎えてきた。
「お兄ちゃん、“くすのきさやか”さんって覚えてる?」
「は、誰?」
「覚えてないの? お兄ちゃんサイテー」
「お兄ちゃんに向かってサイテーってなんだよ」
リビングに着くと3人掛けのソファーに紘夏が座った。そして、その隣をポンポンとたたいた。ここに座れってことね。紘夏の指示したところより少し離れたところに腰を下ろした。
「今日ね、紳に久しぶりに会ったの」
「ふーん」
「最初は私も気づかなかったんだけど、図書委員の仕事をしてたら紳が本を借りに来てその時に紳から話しかけてくれてそれで分かったの!転校生が来てたのは知ってたんだけど、まさか紳だったなんてね~」
「よかったな」
「もう! ここまでヒントを上げてるのにわかんないの? 紳のお姉ちゃんが“くすのきさやか”さんで、お兄ちゃんの同級生だよ!」
「そんな奴いたか?」
「あぁーもう! お兄ちゃん、1年間しか一緒にいなかったから覚えてないんだよ。小学校の入学式の集合写真持ってきて。まだ残ってるでしょ」
「えー面倒くさい」
と言いながらも入学式の写真を取りに行った。俺って結局妹に甘い。
「はいよ」
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