白雪姫の毒リンゴ

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居酒屋のカウンターの上に 幾袋ものコーヒー豆がどさっと置かれた。 「ほーら、お土産ですよ」 友人のまさみは仕事柄旅行が多い。 出張なのだけれどまあ、彼女にしてみれば旅行らしい。 以前の職場の同僚だ。 わたしより2つ歳は若い、つまりは後輩だった。 だけどこの年齢になるとそんなことは関係ない。 お互い転職し、何年も過ぎたけど こうしてたまにあってはあれこれ話す。 彼女は数年前に夫を亡くし 一人で子どもを育て上げた。 そして 本音で話せる大切な女友達。 男関係だってもちろん。 まじめに且つあけすけに。 「珍しいコーヒー手に入ったから 雪乃姐さんに飲ませたくって。 どこの街にもあるあんなカフェより 頑固おやじが続けてる地方の喫茶店ブレンドのほうが ずっと味があるしね」
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