ユーコン河

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「ユーコンブレンド、お好きなんですね」 グリーンのエプロン姿の若い店員は コーヒー豆の購入記録カードを見ると そう言って微笑みかけた。 「そう、好きなのよ」 だって大切なひととキスの味だから、 という言葉を続けたかったが ぐっと我慢して飲み込んだ。 ここでそんなことを言ったなら もう二度と買いに来られない。 ああこっぱずかしい。 抑えたくせに勝手に照れてバカみたい。
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