伏線

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ふたりで過ごしたあの夜。 それ以前にも啓介とはいくつか小さな接触はあった。 何年前のことになるだろうか、 正式な同窓会のテーブルで隣り合わせになり 久しぶりだねえ 今どこに住んでるの? どうしてるの? 昔が懐かしく思えるトシになっちゃったねえ などと言い、 ちょっとだけわたしは 離婚についての顛末を彼に話した。 その時の彼の言葉は覚えてる。 「大体おまえっていうやつは 昔からそうやっていつも人の話をニコニコしながら聞いてるくせして 本当のところはもう自分で決めてて 絶対に譲らないし変えない、そういう人間だよな」
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