ユーコン河

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いつかあのひとのオフィスのテーブルにひろげて見た 星野道夫さんの写真集を思い出す。 ヒグマの孤独で厳しい目 静止した水飛沫 弓なりになったサケ。 それは遠い遠い土地の写真に過ぎなくて 現実にそこにあったものと言えば 灰皿、商品カタログ、納品書、サインペン、クリップ、 なにやら走り書きされたメモ用紙、 それらをかき分け置かれた二つのコーヒーカップ。 まるで ユーコン河のほとりに散らばる現実と夢想。 あのような地で、河のほとりで飲むのがふさわしいか、 ユーコンブレンド。
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