なし

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廊下に出ると、二年の学年主任と生活指導の先生が、ある男子生徒の名前を呼んで探し回っていた。 「どこにもいませんねぇ」 「…ったく、中本の奴!二年になってから急に悪くなりやがって」 先生達にお辞儀をして通り過ぎようとした私に、生活指導の先生が気が付く。 「おー、宮下、お前、東A高志願なんだってな。頑張れよー」 「はい、ありがとうございます」 目立たない私だけど、秘かに成績は悪くなくて、県で一番難関のA高校も合格圏内だと言われていた。 再びお辞儀をして職員室に向かう。 途中、スレ違った一年生女子が、はしゃいで喜び合っていた。 「下駄箱に中本先輩の靴あったー♪」 「じゃ校舎のどっかにいるんじゃん!」 ーーまた ″ 中本 ″。 最近、よく耳にする名前の男子を私は知らない。 年下だし、問題児だとも聞いていたから、関心がなかった。 何より……。 「あ、宮下。放課後にわざわざ呼び出して悪かったな」 「いえ」 職員室に私を呼んだ、この国語の小林先生に、ずっと片思いをしていたから。
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