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「夏休み課題の作文がずば抜けて良かったから、県の大会に出そうと思うんだ」
小林先生は27歳。
私はこの穏やかな先生が一年の時から好きだった。
「審査で残ったら九州大会で原稿を読み上げなきゃいけない。一応、宮下に確認とっておこうと思って」
「 多分無いと思うので大丈夫です」
「謙遜しなくていいよ、宮下の文章力には答案見るだけで脱帽モノなんだ、丸付けの度に唸ってる」
「本を沢山読んだせいですかね」
「いい影響だよ」
生徒を見つめる瞳が、頼もしくも、優しくて柔らかくて……。
ずっと見ていたいと思ってしまう。
そんな叶わない恋も、あと半年で終わる。
「中本ーー!逃げても無駄だぞー!出てこーい!」
職員室を出ても、例の中本は、まだ先生達に捜索されていた。
″ 中本!″ ″ 中本 ″ という声が廊下に響き渡る中、私はずっと我慢してたトイレに向かう。
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