211人が本棚に入れています
本棚に追加
「は? 変態?」
中本がいくら不良でも、どんなに凄味を見せても、生理的現象には勝てない。
「いいから!」
中本の背中を押して女子トイレから追い出した。
いくら何でも、女子トイレに隠れなくてもいいのに。
手を洗って廊下に出ると、
「わ」
まだ、中本がいた。
気だるそうに 座り込んだまま、私を見上げていた。
知らん顔して前を通り過ぎようとしたのに、
「あんた、名前は?」
私に声をかけてきた。
「え」
「三年生だろ? 名前は?」
やだ。関心を持たれた?
「何で言わなきゃいけないの?」
こっちは不良とは一ミリも関わりたくないのに。
「何でって、一目惚れしたから」
中本は想定外の事を言い放った。
一目惚れ? こんな地味な私に!?
最初のコメントを投稿しよう!