なし

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「は? 変態?」 中本がいくら不良でも、どんなに凄味を見せても、生理的現象には勝てない。 「いいから!」 中本の背中を押して女子トイレから追い出した。 いくら何でも、女子トイレに隠れなくてもいいのに。 手を洗って廊下に出ると、 「わ」 まだ、中本がいた。 気だるそうに 座り込んだまま、私を見上げていた。 知らん顔して前を通り過ぎようとしたのに、 「あんた、名前は?」 私に声をかけてきた。 「え」 「三年生だろ? 名前は?」 やだ。関心を持たれた? 「何で言わなきゃいけないの?」 こっちは不良とは一ミリも関わりたくないのに。 「何でって、一目惚れしたから」 中本は想定外の事を言い放った。 一目惚れ? こんな地味な私に!?
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