《不運な空き巣》

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夜から始まる仕事なら、寝過ごすこともないだろう。 そう考えて始めた夜間のビル清掃の仕事だったけど、俺の遅刻癖は朝だろうが夜だろうがおかまいなしだった。 ま、そりゃそうだよな。 友人との飲み会だって、毎回遅刻していたんだから。 結局、度重なる遅刻のせいで最後通告を受けたのが三日前。 で、性懲りもなく今日も遅刻。 俺は仕事を失った。 やる事がなくなってブラブラと街を歩く。 すぐに次の仕事を探す気にはならなかった。 遅刻・クビ・転職を繰り返す俺の履歴書は、とんでもないことになっている。 主に職歴の欄が。 書くのだけでも一苦労だ。 それに仕事を見つけたって、どうせまたすぐクビになるだろうし。 あ~あ…。 なんで、こんな人間になっちゃったんだろうなぁ…。 ふと見上げた空には、星なんか一つも見えやしない。 まるで俺の人生みたいだな…なんて己の不幸に浸っていた時、目に入ったのは目の前に立つマンションのベランダで、 風に揺れる洗濯物の向こう側、僅かに開いている窓だった。
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