《不運な空き巣》

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開けっ放しの窓を見て、不用心だなぁと思った。 短い時間でも空き巣は簡単に侵入する、そうテレビでやっていたのを思い出して。 今の俺には、やる事もなければ、行く場所もない。 なんとなく気になってそのまま眺めていたけれど、窓は一向に閉められなかった。 そもそも、人がいる気配がない。 まさか…留守なのか? 思わずキョロキョロ辺りを見渡した。 部屋は二階、目の前には電柱。 その電柱とマンションの柵に足をかけて登っていけば…届くんじゃないだろうか? 思いついてしまったら、行動せずにはいられなかった。 運動なんてしばらくやっていないけど、意外と動けるもんだ。 そして気付けば、自分でも驚くほど簡単に、俺はそのベランダに立っていた。 ここまで来たら、覚悟を決めるしかない。 隙間に手をかけ、窓を開ける。 そして部屋の中に体を滑り込ませると、そこには思いもよらない光景が広がっていた。
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