《不運な空き巣》

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……で、どうしてこうなったんだっけ? 目の前にはピカピカの浴槽、両手にはゴム手袋。 微かな充実感に満たされながら、ふと我に返った俺はこの数時間を振り返った。 ミルクを飲ませる為に抱き上げた赤ちゃんは、妙に重かった。 いや、正確には。 赤ちゃんのオムツが重かった。 そりゃそうだよな。 こんだけ放っておかれたら、オムツが濡れてない訳がない。 けれど部屋はぐちゃぐちゃで、そう簡単にオムツは見つかりそうにない。 仕方がないから洗濯カゴとゴミ箱を抱え、洋服は洗濯カゴに、ゴミはゴミ箱に放り込んでいった。 途中、洗濯カゴがいっぱいになったから一度洗濯機を回し、ゴミ箱がいっぱいになった時はその中身をゴミ袋に移してまとめて。 それを何度か繰り返したところで、ようやくオムツを発見した。 そして、さてオムツを替えようかと思った時、今度は床が埃だらけでベトベトしてる事に気が付いてしまった。 俺は潔癖症でも何でもないけど。 でも赤ちゃんはダメだよ、ちゃんとしてあげなくちゃ。 そこで俺はクローゼットで発見した掃除機を出してきて、部屋全体の掃除を始めた。 仕上げに雑巾でフローリングを拭き、ベタベタもきっちり取り除く。 これで見違えるほど部屋はキレイになった。 今度こそ、赤ちゃんのオムツを替えてあげられる。 床にタオルケットを敷いて、その上にそっと赤ちゃんを横たえる。 そしてズボンを脱がせ、満を持してオムツを外すと… 「まぁ…そうだよなぁ…」 小さな両足を掴んで持ち上げたその下で、大量の『大』が赤ちゃんのお尻にこびりついていたのだった。
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