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「そうだな、天体球は今日行ったから、博物館にでも行こうか」
アニースが言って、続けた。
「それじゃ、一旦別れて、博物館で落ち合おう。天体球の方が早く終わるだろうからね」
「おう。それじゃまた明日。あっ、そうだ、8時頃食事するんだ、食事室で」
「ああ、朝食作るのかい。参加するよ。7時頃集合ってことだろ?」
「ああ、3階の調理室だ」
「了解」
そう話が付いて、アニースたちは別れた。
翌日、修練室や鍛練場で一緒になり、汗を流して7時に3階の調理室に集合した。
マルクトが中心となって食事を作り、8時半ば頃まで食事を楽しむと、身支度をしに一旦部屋に戻って黒檀塔の玄関で待ち合わせた。
歩いて博物館や天体球のある通りへ行って、アニースとキエラだけ博物館に入り、ほかの者たちは天体球で寛いだ。
時間半ばほどで出てくると、博物館に入ってアニースたちと合流し、昼まで見て回る。
昼食は博物館のなかの食堂で摂り、一行はベーグ地区に行くことにした。
ここで見慣れた王城前客車寄せで、普段は使わない不定期便の馬車のことを聞き、通信局と連携していることを知る。
今度は通信局に行って、人の手で運ぶ荷物のことを聞いて、船便があることを知ると、次は北門前桟橋の総合案内所へと行った。
そこで船便のことを詳しく聞くと、コンツェル通りに並行している、閑散とした朝市通りを歩いた。
「朝市はさすがにご案内できないだろうね」
キャレインが言うと、機警隊のゼタ・クリッシェンドが言った。
「どうだろう?早起きなさる客人もおられるかもしれない。だが俺たちの勤務時間外のことだからな…」
「時間外のことはどうなっているのか聞いてみよう。次はどこに行く?」
キャレインの言葉に、アニースが言った。
「この地区の遊戯場に行こう。たまには何も考えずに汗を流しなよ」
キャレインは不意を突かれた顔をして、次の瞬間、ぱあっと笑った。
「ああ、そうだね!」
それから、この地区…クラウロン地区の遊戯場を探して球当てをして遊び、夕方まで楽しんだ。
街灯が点く頃、のんびりと歩いて戻って、大通りのヴォッカの蹄亭で夕食を摂る。
「ああ、今日も充実した一日だった!ありがとうね」
キャレインが晴れやかに笑う。
「たまにはぼーっとしている一日もいいんじゃないかい」
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