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ナイデア共和国にて
政王機警隊のマトレ・レディナとボズ・ケイレンとクイル・センツェは、シャスティマ連邦の構成国のひとつであるナイデア共和国に来て4ヵ月が経っていた。
彼らは、ナイデア共和国にいる、アルシュファイド国民となった大人の護り手のない少年少女たちを守るためにこの国に来ていた。
やがてそれも終わりを迎えそうな今日、マトレたちは休日を過ごすため、スラッカネッセの巨大市場を覗きに来ていた。
選別作業のできる子たちは金を懐に入れて、何か役に立つもの、欲しいと思えるものを探し歩いていた。
マトレたちはその真剣なまなざしを見ながら、成長したな、と感慨を覚えた。
今、目の前にある食事より、ずっと先のことを考えている目だ。
そんな子もいれば、小さい子たちに小遣いをやって、食べたいものを食べるよう言う子もいる。
どちらにせよ、アークは彼らの成長ぶりに満足するだろう。
字の書き方、読み方を覚え、数字や計算の仕方を覚え、世界のことを知った。
少年少女たちは、ここから始まるのだ。
それはさておき、マトレたちにとってもスラッカネッセは興味深いものだった。
食品通り、繊維通り、道具通り、台所用品通りと分けられるように思う。
食品通りは小さな子たちがあれもこれもと欲しがり、昼食前だからと止めるのに苦労する。
繊維通りは少女たちが釘付けになり、綺麗な布の肌触りなど確かめる。
道具通りは、幾人かの少年少女が興味を示し、台所用品通りでは、台所に多く立つ子たちが、これは役に立ちそう、そうでもない、と話し合う。
マトレたちは少年少女たちの様子を見ながら、スラッカネッセの賑わいに耳を傾ける。
ボズは特に風が強いので、噂話など選り分けて聞き、ナイデア共和国内での賊の心配はないこと、道造りが順調に進み、中央のハイレイカンネまで開通したらしいことを知った。
「アルシュファイドの技術はすごい。道の素材を変えるだけでハイレイカンネまでの道行きを2時間早めた。この違いは大きいぞ」
「そうだな。ちょっと頑張って1日で行けるってのはいい。これまでは2時間分、無理してたもんな」
「それに賊が完全にいなくなっちまった。一時はほら、フィエラなんて壊滅寸前のところを助けてもらって、ハイレイカンネは持ちなおしたって言うじゃないか。サンドリューにも結界を張ってくれたって…」
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