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「そういえば、その結界の噂、知ってるか?悪意を持つ者を弾くんだそうだ。悪い商売してたやつらは結界の外で賊に遭って、命が大事と改心してなかに入ったそうだよ。お陰で街の雰囲気もすっかり変わっちまって、ハイレイカンネとサンドリューは善人の住む町と言われ始めているようだ」
「だからかな。最近出回ってる品物の値段に無理がないのは。どれも納得できる値段で、求めやすい」
「そうだな。ハイレイカンネとサンドリューで値段が一旦落ち着いているからかもしれない。ハイレイカンネとサンドリューの基準が国中に行き渡るといいかもな…」
「ボズ、昼食だってさ!聞いてる?」
ボズは、はっとして手を引く少年に笑ってみせた。
「いや、聞いてなかった、ありがとう」
そのままボズは、予約していた宿の食堂に行って皆と食事を前にした。
様々なものが集まる巨大市場のすぐ近くにあるだけあって、食材の豊富な膳だった。
皆、頬張って食べ、満足し、再び巨大市場に行って昼食前に目を付けていた品物を求める。
それから4時間かけてフロアに戻り、汗を流して皆で協力して作った食事をいただく。
その後、マトレたちは、情報収集のため、酒場へと足を運んだ。
今日は初めて来る酒場で、酒の種類が豊富だった。
全部を味わえはしないが、見慣れないものを頼んで3人は杯を掲げた。
「あの子らの笑顔に杯を傾ける」
マトレが言うと、ボズとクイルが受けよう、と答えた。
初めての酒に口を付けて、目を見張る。
「うん!これはうまい!」
「こっちもうまいぞ」
「こっちもだ。この店はいいものを揃えている」
情報収集が主な目的だが、酒がうまいのは嬉しい。
「ボズ、スラッカネッセで新たな話は聞けたか」
マトレに問われて、ボズは首を傾けた。
「うーん、これまで以上のことはなかったかな。ただ、物の値段の基準がハイレイカンネとサンドリューで適正化されているのが、よい方に運ぶか、どうか…」
「物の値段か…どう動くか判らんから不安だな」
クイルが早々と杯を空けて言った。
「港ではアルシュファイドが適正化している。それだけでも充分行き渡った方だと俺は思うぞ。ハイレイカンネとサンドリューでも適正化されるのなら、それはよい傾向、なんじゃないか?」
給仕に新たな酒を頼み、つまみを食べてこれもうまい!と頷く。
「これまでここに来なかったなんてな。また来よう」
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