食べ歩き

2/2
前へ
/33ページ
次へ
「使うとしたら昼間になるんじゃないのか」 ヴィに言われて、ギイルは頷いた。 「ああ。だから昼にも開いている店を選んだ。揚げ物屋だ」 夕食まで時間があるので、風の遊技場ラストゥに行く。 ちょうどいい時間まで遊ぶと、ギイルたちは目当ての店、セズネに行った。 サズの粉をまとわせて揚げる店だ。 魚介類が多く、どちらかというと魚を好むルークには合っていそうに思った。 「アーク様が同行されている場合を考えて、肉類も押さえておいた方がいいんじゃないか」 「そうだな。ああ、でもこの店も、肉を取り扱っているようだ」 厨房のすぐ前にある台の向こうにいる料理師に、献立表を見ながら頼んでみると、()()があってアークも満足できそうだった。 「昼の献立はまた違うのかな…すまない、この店は昼食はどんな献立だ?」 「昼ですか?決まった献立のものしか出しません。内容はその日次第で、魚介類中心です。鳥も出すかな」 「そうか、ありがとう」 「鳥があるならまあいいかも」 「そうだなあ、だが量が決まっているというところが考えものかも」 そんな話をしながら食事を終えて、帰途に就く。 青い街灯が照らす道を歩きながら、今日もいい休日だったと満足する。 祭王親衛隊となってから、充実した日々が続いているなとギイルは思った。 これまでに不足を感じてはいなかったが、今、こういう休日を過ごしてみて、楽しさを感じ、これまでとの違いを意識した。 ルークのためにできることが増えた。 それが今は何より嬉しかった。 歩きながらザックが言った。 「明日は黒檀塔に行って基礎修練をしないか。応用修練で失敗しないように」 応用修練そのものは、失敗しても繰り返すことが大切なのでいいのだが、実演を求められるときに失敗したのでは伝えられない。 ギイルたちはそうだな、と頷いて、翌日は基礎修練をすることにした。 「明日の昼食は黒檀塔か?」 「そうだな、たまには黒檀塔もいい」 あまり食べ歩きにこだわり過ぎるのも考えものだ。 創建局の食事もうまいのだ。 もしものとき、役に立てばそれでいい。 そういう気持ちで、ギイルは次の機会を楽しみにした。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加