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「使うとしたら昼間になるんじゃないのか」
ヴィに言われて、ギイルは頷いた。
「ああ。だから昼にも開いている店を選んだ。揚げ物屋だ」
夕食まで時間があるので、風の遊技場ラストゥに行く。
ちょうどいい時間まで遊ぶと、ギイルたちは目当ての店、セズネに行った。
サズの粉をまとわせて揚げる店だ。
魚介類が多く、どちらかというと魚を好むルークには合っていそうに思った。
「アーク様が同行されている場合を考えて、肉類も押さえておいた方がいいんじゃないか」
「そうだな。ああ、でもこの店も、肉を取り扱っているようだ」
厨房のすぐ前にある台の向こうにいる料理師に、献立表を見ながら頼んでみると、食い出があってアークも満足できそうだった。
「昼の献立はまた違うのかな…すまない、この店は昼食はどんな献立だ?」
「昼ですか?決まった献立のものしか出しません。内容はその日次第で、魚介類中心です。鳥も出すかな」
「そうか、ありがとう」
「鳥があるならまあいいかも」
「そうだなあ、だが量が決まっているというところが考えものかも」
そんな話をしながら食事を終えて、帰途に就く。
青い街灯が照らす道を歩きながら、今日もいい休日だったと満足する。
祭王親衛隊となってから、充実した日々が続いているなとギイルは思った。
これまでに不足を感じてはいなかったが、今、こういう休日を過ごしてみて、楽しさを感じ、これまでとの違いを意識した。
ルークのためにできることが増えた。
それが今は何より嬉しかった。
歩きながらザックが言った。
「明日は黒檀塔に行って基礎修練をしないか。応用修練で失敗しないように」
応用修練そのものは、失敗しても繰り返すことが大切なのでいいのだが、実演を求められるときに失敗したのでは伝えられない。
ギイルたちはそうだな、と頷いて、翌日は基礎修練をすることにした。
「明日の昼食は黒檀塔か?」
「そうだな、たまには黒檀塔もいい」
あまり食べ歩きにこだわり過ぎるのも考えものだ。
創建局の食事もうまいのだ。
もしものとき、役に立てばそれでいい。
そういう気持ちで、ギイルは次の機会を楽しみにした。
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