合同鍛練

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合同鍛練

この週末の2日間、黒檀塔の大鍛練場はハイデル騎士団によって借り切りにされていた。 並ぶのは、ハイデル騎士団、政王機警隊、祭王親衛隊、側宮護衛団、遠境警衛隊、外交騎士たち。 朝のうちはそれぞれ、異能の発し方や使い方を練習して過ごし、昼からは、異能も使っての手合わせを行った。 観覧する者が多数いて、黒檀塔の管理責任者である黒檀騎士レイノル・アッカード・ザイン…レイは()いている席を探したが見付けられなかった。 仕方がないので前まで行ってみると、スティンが近付いてきた。 「また参加するんですか?」 レイは笑って、いや、今回は見に来ただけだ、と言った。 「そりゃ助かります。毎回叩き伏せられてるんでは格好がつかない」 「そこは叩き伏せられんようにするところだろう」 「いやあ、まだまだ、あなた方の域には到達できませんて」 つい先日、剣技のみの勝ち抜き戦で、レイや、土の宮公ロアセッラ・バハラスティーユ・クル・セスティオ…ロアや、デュッカを相手にして、自分の腕の未熟さを知ったばかりだ。 「俺はまだまだ自分の腕に満足していないぞ?」 「うああ、やめてクダサイ、圧力かけるの」 レイはくつくつ笑う。 「しかし、あんな技を持っているとはな。あの少女は…イルマだったか。最年少でありながら全く見劣りしない」 ハイデル騎士団のイルマは、風の少女騎士だ。 「ああ、彼女はね、特別ですよ。手合わせしたら判ります」 「うん。先日ので腕を直接見たかったな」 そう言って、レイはじっくりと大鍛練場内の戦いを見回す。 5組に分かれて戦っていて、隣接する戦いから放たれる異能などまでも利用して、皆、相手に全力でぶつかっている。 異能の力量差はあっても、それだけで押されたりはしない。 どの戦いも見応えがあった。 「うん。悪くない。励むよう伝えてくれ」 そう言ってレイは戻っていった。 スティンは仲間たちのところに戻って、5組の戦いを観察した。 勝負がつき次第替わることになっているが、どちらもよく戦っており、なかなか終わらない。 明日まで借りておいて正解だったな、とスティンは思った。 「なかなか終わらないねえ。観てるのも面白いけど、体動かしたくなってきた」 ガリィがそう言い、スティンは体練場の方を見た。 「体練場が空いている。異能を使わずに軽く動いてきたらどうだ」
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