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「おっ、そうだね。順番が来たら呼んでおくれよ!」
ガリィがそう言って体練場へ駆けていき、数名あとを追った。
「しかしハイデル騎士団は動きが違うね。特に異能の使い方が巧みだ」
カイナールが感心したように言う。
「鍛練のとき、ミナが時々助言してくれるんだ。そのお陰だな」
「ミナ様は武術の心得がおありなのか?」
「いや、助言してくれるのは異能のこと。より効果的な使い方を教えてくれるんだ」
「例えば?」
「そうだな、異能を放っているときに、どこに余計な力が漏れているかとか教えてくれる。こう、水を出すとする。すると、細く強くなるように、導いてくれるんだ。ただの水より、確実に自分の行動の助けになるように」
カイナールには今ひとつ理解しきれなかったらしい。
ふうん、と頷いて、首を傾げている。
スティンは笑って、助言してもらえば分かるんだけどな、と言った。
「とにかく、空中を駆ける練習は役に立つから、するといい」
「ああ、もちろん!いいことを教えてもらって、感謝している!」
「応用修練場もできたことだし、今後、異能でできることは格段に増えるだろうな。ついていかないと」
「応用修練場か…何ができるんだろう?」
「伝達と探索が中心の修練となりそうだ。騎士はまた違うだろうが」
「騎士は違うのか?」
「必要なことがそれぞれ違うからな。特に子供に空中を駆けさせるのは危ないだろうし」
「それもそうだな」
話している間に、ひと組、またひと組と決着がついていく。
「ガリィ、出番だ、戻れ。相手はマルクトだっけか。連戦はなし!」
なんとなくスティンが世話する形になっていて、新たな組が出揃う。
今日も青いレグノリアの空の下、騎士たちの休日はそんな風に過ぎていっていた。
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