彩石選別師試験

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彩石選別師試験

ハイデル騎士団のファロウル・シア・スーン…ファルは、ほんの少し緊張していた。 今日は彩石選別師資格試験が行われる日だ。 彩石とは、大陸の人すべてがそれぞれの配分で持つ、土、風、水、火の力、すなわち異能を助ける働きを持つ石のことで、サイジャクは人の異能を減少させ、サイゴクは人の異能を増大させ、サイセキは力そのものを内包する。 彩石選別師とは、彩石を、土、風、水、火の属性と、サイジャク、サイゴク、サイセキの働きと、力量と、質の良し悪しとなる完全体と不完全体とに選別する職業の者だ。 ファルは騎士だが、弟とその資格を取るべく、今日まで訓練を重ねてきた。 その努力の成果が今日、試されるのだ。 「いよいよだね、兄さん」 隣に立つラフトフル・シア・スーン…ラフィが、緊張の声でそう言う。 それを聞いて、ファルは奮い立った。 自分が動揺していてどうする。 「ああ、いよいよだな…、大丈夫、訓練通りにやればできる」 王立技能学校の正門からなかに入り、試験会場へと向かう。 ラフィはどの属性でもできるが、ファルは風か水しか選別できない。 2人で話し合って、風の属性試験を受けることにした。 まず属性を選び、働きを当て、力量を読みながら、完全体と不完全体の選別を行う。 全問正解以外は不合格だ。 ファルとラフィは、同じ組になって、用紙の上にこれはと思う彩石を並べていく。 時間いっぱいまで使って、終了。 ファルとラフィは一気に疲れて、飲み物でも飲みに行こうと喫茶店に入る。 いつも通りにやったつもりだ。 「結果、いつぐらいに来るかなあ」 「どうだろう。ひと月後とかかもしれないな」 ラフィは悲鳴を上げた。 「ひと月も待てないよ!」 「そうだなあ…でも資格証明書とか作らないといけないし、それなりに時間はかかるよ」 「結果だけでも教えてくれないかなあ」 「そうだな」 ファルは弟を愛しげに見る。 ファルとラフィが彩石選別師資格を求めるのは、世話になった女性たちに礼がしたいからだった。 ひとりは、ラフィの能力を見抜いて導いてくれたミナ。 ひとりは、ラフィの特異な異能について根気よく向き合ってくれた火の宮公カヌン・ファラ。 そのふたりの役に立つためだ。 「ラフィ、今日は頑張ったから、母さんがごちそうを準備してるよ」 「ほんと!でも結果がなあ…」
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