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「……」
とうとう彼も諦めたらしく、口をつぐんでじっと私を見るだけになった。
力強いその視線は、それだけで何かしらの意思を感じる。
だけれども私も何も話しかけない。
今の私に話題なんて、なにもない。
「……See you later.」
どのくらい無言でいただろうか。
男の子は一言そう言い残すと、私から視線を外し、走り去っていった。
私は何の反応もせず、彼の、元々小さい背中が更に小さくなっていく様子をぼーっと眺める。
あの、意志の強いヘーゼル色の瞳だけが、やけに頭に残った。
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