海辺の家

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颯太は 「ひとりじゃないっていいね。」 と私に笑いかけ、 「ずーっと、美咲がいてくれるといいのに…」 と小さな声で言う。 まあ、それは遠まわしのプロポーズみたいに聞こえて、 私の、胸をドキドキさせるけど、 「毎日こんなに忙しいと、身体がもちませんよ」 と笑っておく事にしている。 今は私達の事より、 仕事や、お母さんの事を優先させて欲しいという、 私の意思表示を颯太はよくわかってくれているようだ。 仕事がある日はあまり、接近して来ないけど、 休みの日は結構甘い雰囲気だ。 2人揃って休みの日には、外に出る事にしている。 颯太は、気が緩ん出る時は美咲が家に来てたら、オオカミしちゃいそうだから。 と笑って、 真夏の日差しが眩しい場所を避け、 映画館で、アクション映画を見たり、 ショッピングモールので私の買い物に付き合ってくれたりする。 私が洋服を選んだり、雑貨を見てるのを興味深く観察しているって感じだ。 手を繋いだり、肩を寄せ合って、アイスクリームを食べさせあったり、 顔を見合わせて、意味もなく微笑んだり。 まあ、トオルに見られたら、 呆れられるほどの健全で、子供のお付き合い。かな。 帰り道、私を車から降ろす前に颯太は甘くくちづけををする。 柔らかく唇や、瞼を、なぞり、 あまり夢中になりすぎないように、息を吐きながら、何度もくちづけを繰り返す。 私も控えめにキスを返す。 颯太は私からキスされると満足して、家に送り届けてくれる。 やっぱり子供かな? でも、高校生の時を取り戻しているみたいで、悪くないのだ
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