過去と現在

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翌日から、gateauでアルバイトを始めた。 颯太は毎日迎えに来て、送ってくれる。 うーむ、甘やかしすぎじゃないんですか? 外国産のエンブレムがついている車の中はゆったりしていて、 静かにクラシック音楽が流れている。 車の中の颯太は、あまり喋らない。 のんびりと私に笑いかける。 でも、gateauに着くと彼は纏う(まとう)空気が変わる。 ぐうっと集中して、人気急上昇中のパティシエになるのだ。 gateauでの仕事は午前中、息を吐く暇がないくらい忙しい。 颯太は眼鏡の奥の瞳に力を入れ、 時折眉間にしわをよせながら、 バリエーションのあるスポンジを焼き、 前日に用意しておいたムースや、ゼリーにデコレーションをし、 バターをたっぷり使った焼き菓子をまた焼き上げる。 冷めたスポンジにクリームや果物やチョコレートを飾りつけ、 出来上がったお菓子は私が磨き上げたショーケースに収めたり、 オーナーが運転する冷蔵車で、 契約している小さなホテルのティールームや、鎌倉駅近くのコーヒーショップに配達されてゆく。 (オーナーは10時頃に出勤してくる。他のティールームに勤める2人は10時半に出勤だ。)
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