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食事が終わった頃、祐樹が帰って来た。
「おー、美咲、久しぶり。」
弟のくせに高校生くらいから、お姉ちゃんと呼ばなくなった。
「はい、これ。俺様のおごり」とケーキの箱を持ってきた。
「すご~い。甘いモノ食べたかった。」
黒の箱に『gateau(ガトー)』と金色の飾り文字で描かれている。
知らないお店だ。
上機嫌で私は箱を開ける。
大きなホールケーキだ。
真っ白なクリームに真っ赤なツヤツヤのイチゴがたっぷり乗っている。
大堂のザ・ケーキって感じのヤツだ。
「美味しそー!」そっとケーキを取り出すと、
ケーキの上にチョコレートでできたプレートが乗っている。
白い文字で《おかえり、美咲》と書かれていた。できた弟だ。
「ローソクまでついてる。
そんなにおねーちゃんと一緒に暮らせるのが嬉しいの?」
と笑って言って、バシバシ弟の背中を叩く。
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