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おとーさまは、普通のひとだ。
山田ジュテームアームストロング商会の社長をしている。忙しくて、よく出張する。おかーさまほどではないが、不在が多い。
だからわたしは、雪ねーさまが旅立った後、広い屋敷の中で、家政婦の妙光寺さんと二人きりで生活してきた。
雪ねーさまがいたころは、素っ頓狂な物音が時々聞こえてきて――ペットが大好きなねーさまは、思い立ったら何でもうちに連れ込んでいた――穏やかながら、スリリングな日々だった。
ぱおおん、きしゃー、あおおおおお。
色々な雄たけびがどこかから聞こえてくる中、シャンデリアの下のテーブルでごはんを食べていた。
妙光寺さんは料理が上手。
和洋中、なんでもイケる。
太ってまるい体と、にこにこ笑顔の優しい妙光寺さんは、わたしとねーさまにとって、おかーさま以上にママなんだ。
「きらびやか学園」から、学習参観や三者面談があったら、いつも来てくれるのは妙光寺さんなのだった。
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