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(おやつの前に、ランドセルを部屋に置きに行こう)
ため息ばかり出る。廊下の真ん中で突っ立っていてもしょうがない。落とした荷物を拾いあげて部屋に向かった。
給食のエプロン袋は、あとで洗濯籠に入れて置こう。
猫が刺繍されたピンクのスリッパをぺたぺたさせて、長い廊下を歩く。
角を曲がれば階段だ。壁に鹿の首の剥製が飾られている。
(まずは、あそこ)
角を曲がるとき、足元に張られている光線をまたぐよう注意しなくては。
その光線はセンサーに繋がっている。ちょっと触れただけで防犯装置が作動する。
夜中にトイレに行くときなんか、寝ぼけていたら一発で引っかかる。
目に見えない光線をまたいで通り過ぎる。わたしも妙光寺さんも慣れているが、客人は大丈夫か。
もし光線に触れたら、剥製の鹿の目が赤くなって口がぱかっと開き、喉の奥から「しゅっ」と、矢が飛んでくる仕掛けになっている。
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